「ネット白熱!? ~20歳が観るべきアニメ38タイトル」への質疑

まつもとあつし様 各位 ブクマした藤津亮太氏の記事に疑義が在るので記します。
[B!] ネット白熱!? ~20歳が観るべきアニメ38タイトル
[B! 歴史] 20歳が観るべきアニメ38タイトルを選んでみた(藤津亮太) - QJWeb クイック・ジャパン ウェブ
先ず、挙げられた「20歳のアニメファンが観るべき38作品(藤津亮太選)」では劇場映画とTVシリーズを一緒くたに紹介している。
一回三十分の、巨人の星全182話、タイガーマスク全125話、最後にHUGっと!プリキュア全49話、之を総て観ろというのか。
最低限、作品の長さから「短編映画」「長編映画」「シリーズ物(定期発表映画)」の3つに分類しろ。何故なら、話数単位で、観るべき度合いを、シリーズ物については示さなければならない、からです。
そして藤津亮太は「なぜその作品を観たほうがいいのかという文脈込みで記された「入門書」はほとんど存在しない。通史や作品カタログはあっても、「観ておくべき作品の観ておくべき理由」を教えてくれる書籍はほとんど見かけない。」としたうえで「唯一の例外といえる書籍が五味洋子の『アニメーションの宝箱』」だ、としています。同書については津堅信之氏が「かつてアニドウに所属し、どちらかというと東映動画系の作品に傾倒している著者なので、選択された作品や、紹介する文章の筆致には、その個性が色濃く表れている」と控えめながら同書のイデオロギー性・党派性に釘を刺していますが、藤津亮太は、2019年の渡辺泰が同書に対し「えこひいきなく公平な視点で作品評価されていて好感が持てる」と書いている様に『アニメーションの宝箱』にイデオロギー的・党派的な問題は無い、ものとしています。
[B!] 「アニメの世界」 「アニメーションの宝箱」 - 津堅信之のアニメーション研究資料図書室
[B!] アニメーションの歴史を知るための10の文献
小黒祐一郎氏は04年に開催された 「日本漫画映画の全貌」展を構成した並木孝の映画「まんがえいがはったつし」について「なみきさんの漫画映画史観と、それに対する愛情の深さがよくわかるものでした」と書いています。この、並木孝や五味洋子そして叶精二やイラン・グエンが依拠する、東映長編からスタジオジブリに至る系譜の作品群を正の表象とし、其処からテレビアニメであれアートアニメーションであれ位置付けられ、価値付けられる、そのような価値判断を小黒に倣い「漫画映画史観」と呼びましょう。並木孝がこの系列の作品群を特権化する呼称として「漫画映画」という言葉を使っている事は夙に知られています。これら富沢洋子・並木孝等の、東映長編等を正の表象とする価値判断は、東映長編やテレビアニメの開始を大人の目で観た『Fan&Fancy Free』同人(森卓也、渡辺泰、おかだえみこ)や彼等を『映画評論』誌の投書欄から抜擢した佐藤忠男等には無いものであり、アニドウ等の活動を承けたより下の世代であっても、叶精二等の様に東映長編からスタジオジブリに至る系譜の作品群を正の表象とすることを推進する人々がいる一方で、原口正宏・氷川竜介・小黒祐一郎等、そのような漫画映画史観とは異なる価値判断に基づいて活動する人々がいます。
[B! 漫画映画史観] WEBアニメスタイル 更新情報とミニニュース
[B!] アニメーションの宝箱
そういった論者の系譜の中に置かれる、五味洋子による『アニメーションの宝箱』が、「アニメーション全般を広く、分け隔てなく紹介し、お薦めする本を出せないものかという狙いで書かれた」「各作品の紹介は、歴史的意義や制作の背景などの「押さえておきたい知識」と的確な作品評を混ぜ合わせた内容で、大変行き届いている。海外作品と国内作品、メジャーとインディペンデントを区別することなく観つづけてきた著者ならではの守備範囲の広さが結実した一冊」「アニメに関する「教養」として知っておきたい要素はここに凝縮されている」のであるなら、まさにこの「東映長編からスタジオジブリに至る系譜の作品群を正の表象とし其処からTVアニメもアニメーションも位置付け価値付ける」価値判断によって叙述と記述が統御されているからでは、ないでしょうか!初学者に薦めるに当り必ず指摘されなければならない同書に於ける価値判断の「色(党派性・イデオロギー性)」を無いかの様に偽り「『アニメーションの宝箱』を引き継ぎたい」とする藤津亮太氏は端的に許されない。

藤津亮太は「通史や作品カタログはあっても、なぜその作品を観たほうがいいのかという文脈込みで記された「観ておくべき作品の観ておくべき理由」を教えてくれる書籍はほとんど見かけない。そんな状況の中で唯一の例外といえる書籍が五味洋子の『アニメーションの宝箱』だ」と書きました。本当にそうでしょうか?例えば山口且訓・渡辺泰『日本アニメーション映画史』や、原口正宏が中心になり小黒祐一郎等が執筆した『TVアニメ25年史』『劇場アニメ70年史』が昭和の刊行当時から令和の現在まで高く評価され読まれ続けているのは、将にその「観ておくべき作品の観ておくべき理由」を「なぜその作品を観たほうがいいのかという文脈込みで記」しているからです。
[B!] 日本アニメーション映画史 - 津堅信之のアニメーション研究資料図書室
[B! 書評] 「TVアニメ25年史」 「劇場アニメ70年史」 - 津堅信之のアニメーション研究資料図書室
データ原口正宏氏がネタにされる様に、『日本アニメーション映画史』全体の半分を占める第3部「資料編」の、1917年から本書刊行時点までのアニメーションの詳細な作品リスト(スタッフ名も詳しく列記)、その末尾が公開予定と記された劇場版宇宙戦艦ヤマトで、現在我々が知る意味での「アニメ」が世間に浮上する将にその直前に刊行されました。アマゾンでの『日本アニメーション映画史』には長らく「広島花子」による漫画映画史観丸出しのカスタマーレビューしか付いていませんでしたが、広島花子のレビューとは逆に東映長編以外のアニメーション映画にも公正に記述を割いていることにこそ『日本アニメーション映画史』の価値が在るのです。『日本アニメーション映画史』と同書を承けた原口・小黒による『25年史』『70年史』は予め(刊行年はこちらが先ですので)『アニメーションの宝箱』とは異なる価値判断で「観ておくべき作品の観ておくべき理由を」「何故その作品を観たほうがいいのかという文脈込みで記」しているのです。
[B!] ジャパニメーションがすべてではない
[B! animation] 世界アニメーション映画史 - 津堅信之のアニメーション研究資料図書室
皆様に呼びかけます。山口且訓・渡辺泰『日本アニメーション映画史』、アニメージュ編集部『TVアニメ25年史』『劇場アニメ70年史』、伴野孝司、望月信夫『世界アニメーション映画史』、等、これらの著作をテキストに一切手を加えずPDFファイルにして無償公開すべきではないでしょうか。残念ながら作品の図版に関しては、権利元と折衝する機会費用を省く為に一律に墨塗せざるを得ないでしょうが。しかしその事がこれらのテキストを致命的に損う事は無い筈です。

この種のリストの内容を語りだしたらキリがないので二点だけ。東映長編「安寿と厨子王丸」を筆頭に「桃太郎 海の神兵」「FUTURE WAR 198X年」「さらば宇宙戦艦ヤマト」等、作品内容に於いて凡そ唾棄すべき映画であっても、その映像表現或は興行などオーディエンス側への影響の上で画期があれば「知る作品」として挙げる意味は在るのでは。そして、何らかの事情で観られない作品であっても、その作品内容が汎く知られるべき、そして観られるべきと予測される作品であれば、何れ観ることが出来る事に繋げる為に、敢えて取り上げるべきでは。瀬尾光世「王様のしっぽ」等。


1月9日投稿『アニメの門場外乱闘編+1 総括2021』に寄せて 藤津亮太様 小川びい敏明様 各位
藤津亮太様。イベントの告知、ネットでの配信等取分リアルタイムで観たいイベントの告知を、藤津亮太のアカウントのツイッターのタイムラインの中で時折呟く、以外の方法で告知しないのは、意図してですか?
ちょうど一年前に「アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ」を第199号で止められたとき続けるのは大変だろうと理解しつつも、しかしアニメスタイル通信の様に記事を告知のみにして続ける事もできたのに、と思いました。いや必ずしもメルマガが読みたいのでは無く、それこそ例えばHTML直打ちでよいから、此処を見れば近々行われるイベントを知り日時が確認出来るページが在れば非常に助かり万事解決なのですが、それを藤津様は何故用意されないのでしょうか?
藤津様がアニメの門ブロマガを止められる以前から、私は藤津亮太ツイッターアカウントのタイムラインを見続ける事が苦痛になった為、見続けるのを止めていました。ですから、藤津様が自身のツイッターアカウントのタイムラインの中で時折呟く、以外の方法でしかイベントの告知をしなくなったとき、私は藤津亮太のイベントの開催を事前に知ることが出来なくなりました。同じイベントの告知を何度も呟いてるぞ、と藤津様は仰るのでしょうが、それこそが当に自身のツイッターアカウントのタイムラインの中でしか告知をしてやらないという藤津亮太の意志表示なのです。
繰り返します。藤津亮太は自身のイベントを自身のツイッターアカウントのタイムラインの中でしか告知しないようにしている。ツイッターのタイムラインのようなものでは無い、其処を一見すればイベントの開催予定と日時が判る告知の場を、設けないのは藤津亮太の意図ですか?!私はもうずっと前から藤津亮太のアカウントのツイッターのタイムラインを追い続けるのが苦痛で、だから止めていたのです!!!
もうひとつ。私は1987年夏、多分アニメージュかコミックボックスで告知された事で私が知った、宮﨑駿の講演を静岡県清水市に赴いて聴き、次回作がとなりのトトロ火垂るの墓であることを宮﨑駿その人から直に聞きました。高校まで藤枝市に居られた藤津亮太はこの宮﨑駿講演について私よりも詳しくご存知でしょうが、そうであるが故に藤津様には話されたくない事情があるのかもしれません。ですから、ツイッターのタイムラインでしか告知をしない件と違って、必ず答えてくださいとは申しません。
本当は他に尋ねるべき事、述べておきたい事が在るのですが(小川氏に対しても)、自身の怠惰で今回はこれだけです。申し訳在りません。